お金持ちの叔母に勧められた開運財布

昨年の今頃でした。 旅先でおみやげを買って、バッグから財布を出したとき、隣にいた叔母に「どしたん?」と言われました。 「何が?」と問うと、何やらつんとした顔でした。

店を出ると叔母は、「あんな財布を使うのはやめなさい。帰ったら私が選んであげるから、新年から新しい財布にすればいいわ」 そのとき私は、茶色の二つ折りの財布を持っていました。 角はこすれて白くなり形もくずれかけた、古いものです。

でも、私の手に革が馴染んで、使い勝手はとてもいいのでした。 叔母は、黙った私に、続けました。

「財布を軽く考えたらいけんよ。お金の家なんだから、くたびれた財布じゃみんな出ていってしまうわ」 (まさかぁ、そんなことあるわけないでしょ)と笑いたくなりましたが、潤沢な資産で悠々と老後を満喫している叔母の言うことだけに、少し心が動きました。 それに、そろそろ買い替えの時期でもありましたし。 私の財布を買うときのこだわりといえば、手が小さいので小振りで、長く使いたいので汚れ目が目立たないもの、でした。

叔母の財布を見せてもらうと、淡い黄色の長財布でした。 縫製も美しく、厚みはさほど感じないのに、ファスナーをあけると収納力は意外にあります。

しかし、一番感心したのは、お札も小銭もカードも、ぴちっと綺麗に納まっていることでした。 戻って間もなく、叔母の行きつけの革製品を扱う店に行きました。 叔母は、自分と同じに黄色を勧めました。

「金運が上昇するの。色は一番大事よ」と言いますが、私はどうも気が進みません。 まだ財布がもたらす開運力を、心から信じていない私は、好みの黒い財布にしたいと思いました。 ふたりのやりとりを聞いていたお店の人が、「黒もいい色ですよ。お金を溜め込む力があるそうです」と、言いました。 「じゃあ、衝動買いするあなたには、いいかもね。でも二つ折りはやめてね」と、叔母も笑いながら賛成しました。 なんでも二つ折りにすると、お金に窮屈な思いをさせるのでよくないそうです。

叔母は、どうしてお金の気持ちがわかるのでしょうね。

あれから何か良い事があったかと思い返してみると、輝かしい夏の一日がありました。 雑誌のクロスワードに応募して1万円が送られてきた同じ日、懸賞で当たった赤毛のアンの袋が送られてきたのです。 ささやかな幸運ですが、これから起こる良い事の前兆ではないかと、期待している私です。

 

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